すべてをわすれて、いのちを見つめた

映画『現代版 城崎にて』

竹中香子
奥野美和 唄 キャファールさとう
 酒井一途 かのうさちあ
小川祐章 小川惺史 寺内卓己
企画:太田信吾、竹中香子 
脚本:竹中香子、太田信吾 
音楽:唄 録音:稲荷森健 整音・フォーリーアーティスト:市村隼人
カラリスト:星子駿光 昆虫監修:キャファールさとう フランス語翻訳:竹中香子 
フランス語翻訳監修:Bertrand Lauret 助監督:小林夢祈
撮影助手:鈴木宏侑、市田鈴音 ロケーションコーディネーター:小林夢祈、唄、酒井一途
エグゼクティブプロデューサー:香取英敏 ラインプロデューサー:酒井一途 
プロデューサー:曽我満寿美
制作:那木萌美 制作協力:株式会社デューズ 
製作委員会:株式会社エムマッティーナ、ハイドロブラスト、
幸屋、M.C.P、昆虫エネルギー研究所
宣伝美術:NORA DESIGN(内田美由紀) WEBデザイン:古谷里美 宣伝写真:bozzo
#現代版城崎にて
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Trailer 予告編

Introduction 解説

刊行以来、長らく封印されていた
志賀直哉の小説『城の崎にて』が
コロナ禍の今、初の映画化!!

友人の自殺を直視した長編ドキュメンタリー映画『わたしたちに許された特別な時間の終わり』(13)、大阪西成区・釜ヶ崎に漂着する若者をドキュメンタリーの手法を活かしリアリティ溢れる描写で表現した初の長編劇映画監督作品『解放区』(14)など、人間や取り巻く環境が持つ現実に作者も見る側も身を投じるような作品を手掛け、俳優としても活躍の場を広げる太田信吾。そんな太田監督が今回撮影地に選んだのは、2021年4月、自身が心身の治癒を体験した兵庫県豊岡市城崎温泉だった。
城崎への滞在中、太田は「湯治場」としてのその街の深い歴史を知る。同時期に、城崎を含む豊岡市では市長選挙が行われ、市井でも「芸術」の存続が問われた。そんな中、彼の脳裏に蘇ったのが志賀直哉の短編小説『城の崎にて』の一節である。

「生きていることと死んでしまっていることと、それは両極ではなかった。それほどに差はないような気がした」

自身も2013年に身近な友人を自殺で失って以来、生と死という概念の更新やメンタルヘルスの改善、社会の周縁に生きる命への眼差しをテーマに映像製作を続けていた太田は、この小説をコロナ禍の2021年に置き換えて映画化することを熱望。すぐさま、パリを拠点に活動する俳優の竹中香子とともに企画を開発した。

「湯治場」としての城崎を舞台に、
現代における人それぞれの
「病」と「治癒」のプロセスを描く傑作!

志賀直哉の小説『城の崎にて』の主人公は、列車事故によって負った怪我の療養のために出かけた城崎温泉で、役割を終えて力尽きた蜂や偶然にも死んでしまったねずみ、いもりという動物たちの死に触れる中で、生と死が本来対なる概念ではないという気付きを得る。九死に一生を得た主人公と、命を落とした動物たち。志賀はこの短編小説の中で、わたしたちが日常の中で分断しがちな「生」と「死」という概念の境界線を巧みな文体で揺るがせていく。本作品はこの志賀の傑作短編をもとに、舞台を2021年に移し再構築した劇映画である。

脚本は主演の竹中が自ら手掛けた。それを太田監督が決定稿にまとめあげ、地元住民、学生、アーティストらと協同しながら夏の豊岡市で撮影。当事者が当事者を演じ直すというスタイルは、太田監督のこれまでの演出手法を踏襲した。ここに人間だけではなく、昆虫、植物、雨、空気の振動までも「出演者」として迎え入れた。さらに、製作陣は城崎に潜むあらゆる生命の「ダンス」を見出し、人間主義的な映画から決別するため動植物・現象・身体部位などの「動き」「質感」を捉えた。

こうして、小説『城の崎にて』の構成を手がかりに、”現代版『城の崎にて』”ともいえる詩的なモンタージュ・独特の映画的文体に富んだ、異色の劇映画が誕生した。

Storyあらすじ

ヨーロッパでコロナ陽性者が爆発的に増える中、フランスで活動する俳優、縫(ぬい)は共演者だった男性をコロナ感染の影響で失う。つい先日まで彼と舞台の上でキスを交わしていたはずなのに、なぜ自分だけ生き残ってしまったのか…?繰り返し湧き上がる問いへの答えが見出せない彼女はある日を境に声が出なくなり、5年ぶりに日本への帰国を決意。城崎温泉へ養生にいくことに。偶然に亡くなった仲間と、偶然に生き延びた自分。自身の生を肯定することができないなか、昆虫エネルギー研究所所長、蛸川(たこがわ)と出会った縫は…。

Statement 監督声明

「生きていることと死んでしまっていることと、それは両極ではなかった。それほどに差はないような気がした」 志賀直哉が1917年5月に発表した小説『城の崎にて』の主人公は、この一文に顕著なように、列車事故によって負った怪我の療養のために出かけた城崎で、役割を終えて力尽きた蜂や偶然にも死んでしまったねずみ、いもりという動物たちの死に触れる中で、生と死が本来対なる概念ではないという気付きを得る。 小説が刊行されてから100余年。 九死に一生を得た主人公と、命を落とした動物たち。 生と死を分断せずにその境界を揺るがせていく本作を読み進めながら、いつの間にかそうした主人公の気付きを追体験している自分がいた。 死が生の終わりでないのであれば、死者は今も偏在しているのではないか。 生が死の始まりでないのであれば、私たちの肉体は今も死を抱えているのではないか。 そうしたことを考えていると、日常や景色や身体や… 見えざるものの存在するものたちへの解像度が急に増していくような感覚を覚えた。 見えていないけれども生きているものたちの生の営み。 それらは例えば、99%以上が依然として謎に包まれているという微生物であり、 この世に未練を残して去ったものの幽霊であり、包括する手を差し伸べようとしない社会の周縁で息を潜めて暮らす難民であり、 出歩くことのできない寝たきりの人であり… 新型コロナウイルス によるパンデミックやロックダウンの影響で、社会の分断や人々の孤立化が問題になっている今、 志賀直哉の『城の崎にて』で描かれる主人公の気付きはそうした社会や身体や生物や自然の周縁への想像を私たちにもたらしてくれると考えるうちに、 私はそうした効果を観客に与えうるような映画作品を、制作したいと強く思うに至った。 本映画作品は、私は志賀直哉の小説『城の崎にて』の構成、フォーマットを借りながら、 生と死の意味を多面的に考察する時間を映像で表現するために作りたいと考えている。 能の物語の多くは、 旅人である“ワキ”が、ある場所に行きかかり、 亡霊や精霊である“シテ”と 出会うという構成をとるように療養のためにある土地を訪れた訪問者が生や死の境界を揺るがすような体験をするという『城の崎にて』の構成は、『城の崎にて』が能や狂言と並び一つの芸能ジャンルとして残るべき、普遍的な力を備えていると思う。 そのことを証明してみせるためにも、今回、原作を忠実に映画化をするという方法ではなく、自分たちなりに構成・骨格をもとに書き直すというプロセスを踏んで、映画を制作したいと考えている。

Credit クレジット

太田信吾 企画・監督・撮影・編集

太田信吾
企画・監督・撮影・編集

1985年生まれ。映画監督・俳優として活動。長野県出身。大学では哲学・物語論を専攻。大きな歴史の物語から零れ落ちるオルタナティブな物語を記憶・記録する装置として映像制作に興味を持つ。処女作の映画『卒業』がイメージフォーラムフェスティバル2010優秀賞・観客賞を受賞。初の長編ドキュメンタリー映画『わたしたちに許された特別な時間の終わり』が山形国際ドキュメンタリー映画祭2013で公開後、世界12カ国で公開。その後も映画『解放区』『想像』『サンライズ・ヴァイブレーション』などエッジの効いた映画作品を手掛けている。また2021年にはWOWOWのシリーズ番組『フードトラッカー峯岸みなみ』の演出を手掛けた。俳優としても活動しており最近の出演作に『未練の幽霊と怪物』(KAAT神奈川芸術劇場プロデュース、作・演出:岡田利規)、ドラマ『夢を与える』(WOWOW)、『東京怪奇酒』(テレビ東京)などがある。
  • 竹中香子

    竹中香子
    企画・脚本・出演(縫役)

    2011年に渡仏し、日本人としてはじめてフランスの国立高等演劇学校の俳優セクションに合格し、2016年、フランス俳優国家資格取得。パリを拠点に、フランス国公立劇場を中心に、多数の舞台に出演。第72回アヴィニョン演劇祭、公式プログラム(IN)作品出演。2017年より、日本での活動も再開。一人芝居『妖精の問題』(市原佐都子 作・演出)では、ニューヨーク公演を果たす。2020年より、カナダの演出家Marie Brassardとのクリエーションを開始。2021年、フランス演劇教育者国家資格取得。最近の出演作に市原佐都子『蝶々夫人』(Theater Neumarkt[スイス]との共同制作)。好きなことは、食べること、捨てること、読書。

  • 唄


    音楽・ロケーションコーディネーター・
    出演(唄役)

    2003年生まれ

  • キャファールさとう

    キャファールさとう
    昆虫監修・出演(蛸川役)

    昆虫食研究家。1974年生まれ。大阪府岸和田市出身。
    アジアの民族学的昆虫食の調査を行いながら、昆虫食文化や料理を研究。
    講演、ラジオ、テレビ、執筆活動等を通じて昆虫食の普及に努めている。

  • 酒井一途

    酒井一途
    ラインプロデューサー・
    ロケーションコーディネーター・
    出演(ゲストハウスオーナー役)

    1992年東京生まれ。ひととひと、ひとと地域、ひととアート、などを繋げること。2020年より豊岡演劇祭コーディネーターとして、滞在制作におけるリサーチ・フィールドワークや、地域の人びととの関係性の構築をサポートする。

  • かのうさちあ

    かのうさちあ
    出演(フードトラッカー役)

    行方不明の友だちを探しに駆け付けた阪神淡路大震災の神戸で生れた移動販売「幸屋」。あたたかい食べ物・あたたかい音楽・あたたかいエネルギーを手づくりキッチンカーに乗せて、世界中で待っている人たちのところを回るのが夢!
    https://aozorasatya.wixsite.com/my-site-8

  • 小川祐章

    小川祐章
    出演(住職役)

    昭和51年6月12日生まれ 
    兵庫県豊岡市城崎町出身
    高野山大学を卒業後、高野山専修学院にて修行
    城崎温泉守護の寺 温泉寺中興第30世

  • 小川惺史

    小川惺史
    出演(住職の息子)

    平成26年12月18日生まれ 
    兵庫県豊岡市城崎町出身
    小川祐章の息子として温泉寺に生まれ、三歳からコンテンポラリーダンスを始める。
    現在小学一年生。

  • 寺内卓己

    寺内卓己
    出演(杞柳細工職人)

    1956年生まれ、1976年家業、1985年独立(たくみ工芸)、1994年豊岡杞柳細工伝統工芸士

  • 奥野美和

    奥野美和
    振付・出演(身体役)

    3歳よりモダンバレエを始める。2009年より骨と肉に着目した独自の身体メソッドを軸にダンスとパフォーマンスの間に成立する作品を手掛け国内外にて活動。2017年、東京藝術大学大学院美術研究科先端芸術表現専攻修了。2017・2020年にはカナダの演出家Marie Brassardの作品に参加するなど演劇作品への出演も行う。近年は身体を素材とした美術作品の創作に力を入れる。

出演:青山治重 石丸佳佑 石丸望 石丸栞 
石丸朔太郎 権基 花房弘史 恒松りほ
濱上吉徳 bozzo 森歩 潮野塵 さっちゃん 
Alexandre Michel 小川智彦 筒井裕子
録音:稲荷森健 整音:市村隼人 カラリスト:星子駿光  
フランス語翻訳監修:Bertrand Lauret 
助監督・ロケーションコーディネーター:小林夢祈 
撮影助手:鈴木宏侑、市田鈴音 エグゼクティブプロデューサー:香取英敏 プロデューサー:曽我満寿美
  制作:那木萌美 制作協力:株式会社デューズ 
製作委員会:株式会社エムマッティーナ、ハイドロブラスト 、幸屋、M.C.P、昆虫エネルギー研究所
  コピーライティング:竹中歩 
宣伝美術:NORA DESIGN(内田美由紀)
WEBデザイン:古谷里美 宣伝写真:bozzo 
特別協力:Infrarouge/ Marie Brassard
協力(50音順):井坂浩 木下栞 渋谷順子 中貝宗治 松井敬代 三浦規寛
青幸空屋 アートキャンプ丹後実行委員会 IKUTA STEELPAN 伊丹市昆虫館 
一般社団法人豊岡アートアクション 井戸養蜂場 いなばや 城崎温泉 三木屋
  城崎温泉旅館経営研究会 豊岡市城崎振興局 城崎温泉観光協会 
城崎国際アートセンター(豊岡市) 
城崎文芸館 京丹後市アメニティー久美浜公園
  NPO法人昆虫エネルギー研究所 昆虫食のバグズファーム たけの観光協会 
豊岡杞柳細工たくみ工芸 豊岡市エコハウス 日本文藝家協会
  末代山温泉寺 NPO法人わくわくする久美浜をつくる会
文化庁「ARTS for the future!」補助対象事業
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